機械・設備における予防保全のメリットと課題とは?設備保全の問題をリバースエンジニアリングで解決

皆さん、こんにちは。

千葉県市原市を拠点にリバースエンジニアリングなどを手がける有限会社藤田工業です。


「長年稼働している古い設備が、ある日突然止まったら…」

製造業の現場にとって、予期せぬ設備のダウンタイム(生産停止)は、納期遅延や甚大な機会損失に直結する最も避けたい事態です。


この最悪の事態を防ぐために、多くの企業が「予防保全」の重要性を認識されています。しかし、メリットは理解していても、「わかっているけど実行できない」という深刻な課題を抱えている現場も少なくありません。


本記事では、まず予防保全の基本的なメリットや種類を解説します。さらに、多くの製造現場が直面する予防保全の「課題」、また弊社のリバースエンジニアリング技術でどのように解決できるのかご紹介します。




■企業の経営を守る「設備保全」とは?3つの種類を解説



工場の安定稼働を支える設備保全活動は、実施するタイミングによって大きく3つの種類に分類されます。予防保全を正しく理解するためにも、まずはそれぞれの定義と違いを整理しましょう。



①事後保全(BM):故障後に対応する

事後保全(BM:Breakdown Maintenance)とは、設備や機械が故障・停止した「後」に、修理や部品交換を行う手法です。「壊れたら直す」という考え方であり、修理保全(CM)や対応保全(RM)とも呼ばれます。この手法の大きな課題は、故障が突発的に発生するため、生産計画が大幅に乱れる点にあります。もし部品の在庫がなければ調達に時間がかかり、長期間の生産停止(ダウンタイム)につながるリスクが常にあります。これにより、甚大な機会損失や顧客からの信用失墜を招く可能性があります。



②予防保全(PM):故障前に計画的に対応する

予防保全(PM:Preventive Maintenance)とは、設備や機械が故障する「前」に、あらかじめ定められた計画に基づいて点検、部品交換、メンテナンスを行う保全活動です。トラブルが起きることを未然に防ぎ、設備の安定稼働を維持することを最大の目的としています。本記事のメイントピックであり、多くの製造業が目指す保全の形です。



③予知保全(PdM):故障の兆候を捉えて対応する

予知保全(PdM:Predictive Maintenance)とは、IoTセンサーやAI(人工知能)といった技術を活用し、設備の稼働状態(振動、温度、圧力など)をリアルタイムで監視・分析する手法です。データの分析から劣化状態や異常の「兆候」を検知し、故障が発生しそうな最適なタイミングで保全を行います。予防保全の進化形であり、オーバーメンテナンスを防ぐ理想的な形とされています。ただし、センサーやシステムの導入に初期コストがかかる点や、収集したデータを分析する専門知識が必要になる点が課題となる場合もあります。



事後保全との決定的な違い

予防保全と事後保全の決定的な違いは、「トラブルへの対応タイミング」にあります。予防保全はトラブルが発生する「前」に計画的に実施するのに対し、事後保全はトラブルが発生した「後」に突発的に対応します。事後保全は、突発的な対応となるため、修理コストが割高になったり、生産ライン全体が停止したりと、常に生産稼働率に深刻な影響を与えるリスクを抱えています。一方、予防保全は計画的に実施できるため、生産への影響を最小限に抑えつつ、安定稼働を実現できます。




■予防保全の主な種類



予防保全は、保全を実行するタイミングの基準によって、さらに以下の3種類に分類されます。



・時間基準保全(TBM:Time Based Maintenance / 定期保全)

TBM(時間基準保全)は、故障の有無にかかわらず、「1年に1回」「5,000時間稼働ごと」といった一定の時間間隔や周期を基準にメンテナンスを行う方法です。

最も一般的でシンプルな予防保全であり、スケジュール管理がしやすいため、計画が立てやすいという大きなメリットがあります。一方で、まだ使用可能な部品も交換してしまう「オーバーメンテナンス」になる可能性があります。



・利用基準保全(UBM:Usage Based Maintenance)

UBM(利用基準保全)は、設備の利用回数や稼働量(例:生産個数、走行距離など)を基準にメンテナンスを行う方法です。

TBMが時間の経過を基準にするのに対し、UBMは実際の使用状況に基づいて保全を行うため、TBMよりも過剰な点検や交換を減らせるメリットがあります。



・状態基準保全(CBM:Condition Based Maintenance)

CBM(状態基準保全)は、設備や機械の実際の「状態」を測定・監視し、劣化の兆候やあらかじめ設定した基準値を超えた時点でメンテナンスを行う方法です。

五感による点検(異音、異臭、発熱など)のほか、センサーによる振動、温度、圧力などのデータを活用します。無駄な保全を極力減らし、コスト削減につながる手法であり、先述した予知保全(PdM)のベースとなる考え方です。




■予防保全を導入する3つの大きなメリット



多くの企業が事後保全から予防保全への移行を目指すのは、経営に直結する大きなメリットがあるためです。



・突発的なダウンタイムを回避し、生産性を向上させる

予防保全の最大のメリットは、「予期せぬ故障による生産停止を限りなくゼロに近づけられること」です。

製造ラインの突発的な停止は、その時間分の生産ロスだけでなく、納期遅延、顧客からの信用失墜、そして機会損失といった、金銭的にも経営的にも甚大なダメージを与えます。

予防保全を導入し、生産計画に影響のない夜間や休日に計画的なメンテナンスを実施することで、ダウンタイムのリスクを最小限に抑え、生産性を安定・向上させることができます。



・設備の性能を維持し、製品品質を安定化させる

設備の劣化は、目に見えない形で徐々に進行します。気づかないうちに加工精度が低下し、不良品の発生率が上がっているケースも少なくありません。

予防保全によって定期的に点検・整備を行い、設備を常に最適な状態に保つことは、安定した製品品質を維持することに直結します。品質の安定は、企業の信頼性を支える重要な基盤です。



・計画的な作業により、保全コストと労力を最適化できる

「壊れてから直す」事後保全は、修理費用がいつ発生するかわからず、突発的に高額なコスト(緊急の部品調達費や人件費)がかかるため、予算管理が非常に困難です。

一方、予防保全はメンテナンスの時期と必要なコスト(部品代、作業費)を事前に予測できます。これにより、計画的な予算確保と人員配置が可能になり、保全業務全体のコストと労力を最適化できます。




■製造現場が直面する「予防保全」の課題


これほど多くのメリットがある予防保全ですが、多くの製造現場では「わかっているが、実行できない」という深刻な「壁」に直面しています。



・オーバーメンテナンスによるコスト増

特にTBM(時間基準保全)でよく見られる課題ですが、まだ十分に使える部品であっても、計画に基づいて交換してしまうため、部品代や作業費が過剰にかかってしまう(オーバーメンテナンス)可能性があります。 「もったいない」と感じながらも、停止リスクを避けるために交換せざるを得ないというジレンマです。



・計画基準外の突発的な故障は防げない

予防保全の計画を立てていても、その計画基準よりも早く劣化が進行した場合、突発的な故障を防ぎきれないことがあります。結局は事後保全になってしまい、「あれだけコストをかけて予防保全していたのに」と、計画そのものへの不信感につながるケースもあります。



・そもそも交換部品が入手できない

上記2つも深刻な課題ですが、製造現場における最大の課題は「部品調達問題」です。

特に長年稼働している古い設備において、

• 部品が廃番(生産終了)になっている
• 設備メーカーが倒産、あるいは事業撤退してしまった
• 購入当時の図面を紛失してしまっている
• 海外製部品で、調達に極端な納期とコストがかかる


といった理由で、交換に必要な部品そのものが入手できないケースが多発しています。

これこそが、「予防保全の計画は完璧でも、実行できない」という最大の壁です。部品が手に入らない以上、壊れるまで使い続ける「実質的な事後保全」を選択せざるを得ず、現場は常に生産停止のリスクに怯えながら稼働させているのが現実です。




■「部品がない」予防保全を解決するリバースエンジニアリング



「部品がないから、予防保全を諦めるしかない」 「数千万円かけて設備ごと入れ替えるしかないのか」

そう結論づける前に、知っていただきたい技術があります。それが、私たち藤田工業が専門とする「リバースエンジニアリング」です。



・リバースエンジニアリングとは?

リバースエンジニアリングとは、既存の製品の「現物」を3Dスキャナーなどで精密に測定・分析し、その構造や設計情報(図面や3D-CADデータ)を復元する技術です。通常の「設計→製造」という流れとは逆行(リバース)することから、このように呼ばれています。


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・【予防保全の実現】廃番部品の複製と予備品確保

リバースエンジニアリングの最大の強みは、「図面」や「メーカー」に頼らずとも、手元に「現物」が1つでもあれば、廃番部品を複製・再現できる点にあります。

メーカーが倒産していようと、図面がなかろうと、現物をスキャンして図面化し、同じもの(あるいはそれ以上の品質のもの)を製作することが可能です。

これにより、「部品がないから」と諦めていた古い設備の予防保全が実行可能になります。必要な予備部品をあらかじめ確保しておくことで、計画的なメンテナンスが実現し、ダウンタイムのリスクを根本から排除できます。


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・【コスト削減】高額な設備更新の回避

「たった1つの部品が手に入らない」という理由だけで、まだ十分に稼働できる数千万円クラスの設備全体を入れ替える(リプレイス)のは、経営的に非常に大きな負担です。

リバースエンジニアリングでその重要部品1点を復元できれば、設備更新という高額な投資を回避し、既存設備を延命させることが可能になります。また、メーカー純正品よりも適正価格で調達できるケースも多く、トータルコストの削減に大きく貢献します。


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・【品質向上・長寿命化】既存部品の改良

リバースエンジニアリングは、単なる「複製」に留まりません。現物を分析する過程で、「なぜこの部分は摩耗しやすいのか」「この材質は今の環境に適しているか」といった弱点を特定できます。

その分析結果に基づき、材質変更(例:耐摩耗性の高い特殊合金に変更)や設計の最適化(例:強度を上げるために肉厚を変更)といった「改良」を加えることが可能です。 これにより、部品の耐久性や性能を向上させ、交換頻度そのものを減らす(=メンテナンスコストをさらに削減する)ことにも繋がります。


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・【技術継承】図面・3Dデータの資産化

リバースエンジニアリングの過程で復元された3D-CADデータや2D図面は、単なる部品製作のためだけのものではありません。それは貴社の「デジタル資産」となります。

失われていた図面がデータとして保管されることで、ベテラン作業員の勘や経験に頼っていた属人化を防ぎ、技術継承を促進します。また、将来のさらなる改良や改修の際にもそのデータを繰り返し活用でき、企業のDX推進にも繋がります。




■まとめ



本記事では、予防保全のメリットと種類、そして現場が直面する深刻な課題について解説しました。


予防保全は、製造業の安定稼働と経営基盤を守るために不可欠な活動です。しかし、「部品が手に入らない」という理由だけで、多くの貴重な設備が生産停止のリスクを抱えたまま稼働している現実があります。

「図面がないから、もう作れない」 「メーカーが生産終了してしまったから、諦めるしかない」 「海外製で調達が困難だから、設備ごと入れ替えるしかない」


もし、そう思い込んでいた古い設備の部品が手元にあるのなら、その「現物」さえあれば、藤田工業が復元・改良できるかもしれません。

致命的な生産停止という最悪の事態が起こる前に、予防保全の「最後の切り札」として、ぜひ一度、私たちにお気軽にご相談ください。




■予防保全のためのリバースエンジニアリングなら、藤田工業にお任せください!



予防保全の「部品がない」という最大の課題を解決するために、藤田工業は長年培ってきた技術とノウハウでお応えします。弊社が選ばれる理由には、以下の強みがあります。


強み1:測定・設計・製作・納品までワンストップ対応

藤田工業は、単なるリバースエンジニアリング業者ではありません。高精度な測定から、そのデータを基にした図面化・3Dモデリング(設計)、そして実際の製作・加工、品質検査、納品まで、すべての工程をワンストップで対応可能です。お客様があちこちに手配する手間を最小限に抑え、品質の安定とコスト削減を実現します。


強み2:小さな部品1つ、急なトラブルにも全国対応

「こんな小さな部品1つでも頼めるか」「急なトラブルで、すぐに現物を見てほしい」といったご要望にも、フットワーク軽く全国対応いたします。小ロット生産や緊急のトラブル対応こそ、弊社の真価が発揮される場面です。


強み3:プラント配管設計で培った高い技術力と実績

弊社のルーツは、粉体設備などのプラント配管設計にあります。大手企業様からの複雑な設計依頼で培った「モノづくり」の知見と高い技術力が、リバースエンジニアリングの精度を支えています。単に形を写し取るだけでなく、その部品が「なぜその形なのか」「どのような機能が求められるのか」を理解した上で、最適な復元・改良提案を行います。


工場に関するあらゆるお悩みごとを解決するパートナーとして、藤田工業にお気軽にお問い合わせください。



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